タチアナ・エングリング氏へのインタビュー

5月3日(土)に行われる『タチアナ・エングリング第47回ギター音楽大賞 優勝記念コンサート』を直前に控えた、タチアナ・エングリング氏にインタビューを行いました。
ドイツ在住のタチアナさんにこれまでのギター歴からリサイタルへの意気込みまでを熱く語っていただきましたので、ぜひじっくりとお読みください。
インタビュアー:こんにちは。本日はお忙しい中、お時間を取っていただいてありがとうございます。
このインタビューではタチアナさんとギターとの出会いや日本に留学されたキッカケ、そして今度行われる第47回ギター音楽大賞 優勝記念コンサートへの想いなどを詳しくお聞きしますので、よろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。
まずはギターに興味を持ったキッカケを教えてください。
実は最初は歌を歌いたかったんです。
歌いながらギターを弾く姿がとても素敵だなと思っていました。でも、クラシックギターに出会って、その魅力にどんどん引き込まれていったんです。
今では、あまり歌うことはなくなりましたが、ギターを弾く時間がとても楽しいです
歌がキッカケだったんですね。ギターを弾きながら歌うことを日本では”弾き語り”と言うんですよ。
では、実際にギターを始めた経緯はどんな風でしたか?また、これまで師事した先生のこともお聞かせください。
私は、ギターを弾きたいと親に伝え、毎日少しずつ練習することを約束しました。
最初は、ふるさとの近くでギターのレッスンを受けることができました。その教室では、ピアノやバイオリン、オーケストラのレッスンもあり、幅広く音楽に触れることができました。
7年間その教室で習った後、そこの先生の勧めで別の先生に師事することになり、さらに2年間レッスンを受けました。
その後、高校生向けのプログラムを通して大学の入学試験を受け、2015年からシュトゥットガルトの音楽芸術大学でティルマン・ラインベック教授に師事してギターを本格的に学んでいます。
これまで弾いてきた中で特に印象に残っている曲や、思い出深い曲があれば教えてください 。
今度のコンサートで演奏する予定の曲です。
ちなみに以前、今回の曲ではありませんが、お箸を使って現代音楽の作品を演奏したことがあります。それがとてもユニークで、面白い体験でした。
では、好きな作曲家、あるいはこれから研究していきたい作曲家は誰ですか?
子どものころにモーツァルトの音楽を聴いて、すぐに大好きになりました。今でも彼の音楽は本当に大好きです。
最近は女性作曲家にも興味があり、いろいろな作品を探しています。その中で、スウェーデンの作曲家アマンダ・マイヤーの音楽に出会いました。彼女の作品もとても気に入っていますが、残念ながらギター用の編曲がまだありません。
そこで、ギターデュオ用に自分で編曲に挑戦してみているところです。
最も影響を受けたギタリストはどなたですか?またその理由は?
う〜ん、難しい質問ですね。
一人挙げるとしたら、アニエッロ・デジデリオ。彼は本当に素晴らしいギタリストです。とても美しい音を奏でていて、フレージングも魅力的です。
彼の演奏には、とても個性的な解釈があって、いつも心を揺さぶられます。私にとって、とても刺激的な存在です。
タチアナさんは広島のエリザベト音楽大学に留学されていましたね。そのキッカケを教えてください。
ずっと、まったく違う文化を持つ国に留学してみたいと思っていたんです。もともと日本には強い興味があって、14歳か15歳の頃には遊び感覚でひらがなとカタカナを覚えたりしていました。それで、エリザベト音楽大学で福田進一先生や朴葵姫先生が教えていると知ったとき、「ここで学びたい!」ってすぐに思いました。学生時代から日本のギター音楽を演奏する機会も多くて、もっと深く知りたいという気持ちがあったんです。
実際に日本で過ごした印象も聞かせてもらえますか?
最初の3ヶ月くらいは、正直ちょっと圧倒されました。文化も言葉もすべて新しくて、すごく刺激的だった分、戸惑いもありましたね。日本語は以前から独学していたんですが、ほとんど漢字ばかりで、文法はあまり勉強してなかったんです。
でも、大学ではとても温かく迎えてくださって、それが本当に心の支えになりました。おかげで友達もすぐにできて、自然と日本語もどんどん上達していったと思います。
日本での生活はとても快適でしたし、何より「もっと頑張ろう」って思える環境でした。全体として、とても前向きな経験だったと感じています。
日本での生活を楽しんでいらしたようで、私たちも嬉しい限りです。
ちょっと質問の趣向を変えて、ギター以外で興味のあることや趣味などはありますか?
今は日本語を勉強することが楽しいです 笑
あとは本を読むのも好きだし、スポーツではピラティスが特にお気に入りです。
では、タチアナさんの性格を一言で表すとしたら?
友達には「思慮深いみたいだね」と言われました。
それはタチアナさんの演奏にも表れているのかも知れませんね。
続いて、現在使っている(今回のコンサートで使う)ギターのことを教えてください。
私が弾いているのはマリオ・グロップのギターです。
このギターは2020年に、私のためにスプルース材を使い、弦長630mmで製作された特別な一本です。
その楽器の、どんなところを氣に入っていますか?
私が長い間、ずっと探し求めていた音色を持つギターなんです。
澄んだ音色でありながら同時に温かみも感じられ、さまざまな音楽スタイルに自然と馴染みます。
それでいて、このギターならではの個性がしっかりと感じられるんですよ。
コンクールでも使用されていたと思いますが、改めてその音色を聴けるのが今から楽しみです。
では、今後の活動予定や目標を教えてください。
夏までに、たくさんのソロコンサートや室内楽の卒業試験があり、また、琴を弾く友達と一緒にコンサートも開催したいと思っています。
これからの活躍も期待しています。
続いて今回のリサイタルの聴きどころを教えてもらえますか。
それはちょっと難しい質問です。というのも、どの曲もとても好きなので、全部を楽しんで欲しいと思っています。
では最後に、今回のリサイタルにお越しくださる皆さんへのメッセージをお願いします。
今回は、私が腱鞘炎で少し休んでいたあとの初めてのコンサートになるので、すごく楽しみにしています。この演奏が、聴いてくださる方々の心に届いたら嬉しいです。
大好きな日本の皆さんにお会いできることを楽しみにしています!
チケットのお申し込みは下記のリンク先で受け付けております。
≫タチアナ・エングリング第47回ギター音楽大賞優勝記念コンサートのお知らせ