伊藤亘希氏へのインタビュー
10月28日に行われる第46回ギター音楽大賞 優勝記念『伊藤亘希ギターリサイタル』を直前に控えた、伊藤亘希氏にインタビューを行いました。
これまでのギター歴からリサイタルへの意気込みまでを熱く語っていただきましたので、ぜひじっくりとお読みください。
インタビュアー:こんにちは。本日はお忙しい中、お越しいただいてありがとうございます。このインタビューでは伊藤さんとギターとの出会い、そして今度行われる第46回ギター音楽大賞 優勝記念『伊藤亘希ギターリサイタル』への想いなどを詳しくお聞きしますので、よろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。
まずはギターに興味を持ったキッカケを教えてください。
小学3年生くらいの頃に父親がゴミ捨て場からギターを拾ってきて、割りばしでナットとブリッジを作り、弾き語りを始めました。それを見て、見よう見まねでギターを触り始めた感じですね。
それまでクラシック音楽に関心があったわけではなく、裕福でも貧乏でもなく、ごく一般的な中流家庭でした。
では、実際にギターを始めたキッカケは何ですか?また、これまで師事した先生のこともお聞かせください。
父と兄の影響で昭和のフォークソングばかり弾いていました。
中学の時、国語の先生が学校の備品を使ってクラシックギター部を創設したので、兄に続いて入部しました。
そこでクラシックギターの世界を知り、CDを聴き、「ギターでバッハ弾くのめっちゃかっこいい!」と夢中になって青本(新ギター教本)やエチュード等を練習し始めました。
高校ではギター合奏に取り組み、大学ではもう一度基礎からやり直そうと坪川真理子先生に習い始めました。
ウェブサイトを拝見すると『脱サラ系ギタリスト』と書かれていてエンジニアの経験がおありとのことですが、その方面にも興味があったんですね?
そちらに進まれた経緯などもよろしければ教えてください。
もともと根っからの理系気質だったので、それを生かそうと思い、大学は工学系の学科に進みました。
ギターだけで生きていくことも考えたのですが、母の入院など家庭の事情もあり、大学卒業後は就職し、週末ギタリストになろうと思っていました。
エンジニアとしてお仕事をされていた期間はどのくらいですか?
1年間だけです。なので「社会人をやっていた」と胸を張って言えるほどの仕事はしていないですね(笑)
そこから脱サラをしてギターの道に進もうと思ったキッカケを教えてください。
そのときやっていた仕事に面白みを感じられなかったので、やめてしまいました。
その後、どんな風にギタリストとしての道を切り開いてこられたのですか?
ギタリストとして指導活動しながらコンクールに出ていたのですが、自分の演奏にいかに音楽性が足りないかを痛感していました。
その後スペインとドイツに行く機会があり、ヨーロッパでじっくり勉強したいと思いドイツ留学を決めました。
最も影響を受けたギタリストはどなたですか?またその理由は?
谷辺昌央氏ですかね。
西洋的な演奏と(良くも悪くも)日本人らしい演奏を分かつものは何なのか、そして、自分のような「天性の音楽家」タイプではない人がどのように魅力的な音楽家たり得るか。そういったことをより考えたくて、彼の「パルストレーニング講座」とレッスンを受講しました。音楽の”解像度”がブワッと上がったと思います。自分の演奏の未熟さにも気づかされました…まだ聴いていない方はぜひ彼の生演奏を聴いていただきたいです。
それからドイツで学んだリカルド・ガジェン教授ですね。
5年間のレッスンを通じて、特にバロックや古典の演奏におけるアプローチの基本が身についたと思います。
もちろん、体の使い方の基礎を教えてくださっている井桁典子先生、留学前にいろいろアドバイスをくださった塩谷牧子先生にもとても影響を受けています。
現在使っている(今回のリサイタルで使う)ギターは何ですか?
ゲルノット・ワグナー(2008)です。
その楽器のどんなところを氣に入っていますか?
ダブルトップの楽器なだけあって、特に低音に迫力があります。
軽いタッチで音が飛んでくれます。
今年の4月に出されたCDについてもお聞かせください
もともと「古典のエチュードやロマン派の小品を聴かせられるギタリストになりたい」という思いがあり、収録したい曲を並べた結果、あのCDが出来上がりました。
ロマン派らしい物語性のあるものにしたいと思い、シャンドの「伝説」からCDタイトルを決めました。
今回のリサイタルの聴きどころを教えてください。
ディアベリは(ギターでは)なかなか実演の少ない作曲家ですが、たくさん作品を残しています。
定番の作曲家に縛られずに、時代様式に則った演奏をお伝えしたいと思い組み入れました。
あと、いわゆる南米ものも好きで、リサイタルでは毎回演奏しています。今回はA.バリオスを4曲弾きます。
南米の民俗音楽への尊敬とヨーロッパのクラシック音楽への憧憬、両方感じられる演奏を目指しています。
今後の活動予定や目標を教えてください。
11月はギターとハープのデュオリサイタルが東京、大阪であります。
珍しい組み合わせに感じるかもしれませんが、とても相性がいいと感じています。
ギターとハープのために作曲された曲は意外とあって、今回も2曲披露します。
また、ギター演奏をより身近に感じられるカフェコンサートも企画しています。
その他色々ありますのでホームページに逐一公開していきます!
最後に、今回のリサイタルにお越しくださる皆さんへのメッセージをお願いします。
楽しんでいただけるよう頑張ります。
ぜひ皆さま、お越しください!
チケットのお申し込みは下記のリンク先で受け付けております。